【すず屋探訪記】笛吹と深沢七郎 ③

やっと林道の入り口だと、若干の安堵と少しの残る不安を抱えて、看板を覗き込む。
行き過ぎた!
林道の静寂の中、不安が安堵を打ち消す音が聞こえる。
黒坂里道の看板

起点はとっくに通り過ぎていた。
今できることは、来た道を真っ直ぐ戻るだけ。
ただこの道には石碑なんてものは見当たらなかった。

こんな看板の地図では見つけられない。
「黒坂里道の入り口付近」という、国会の答弁くらいの曖昧さ。
草の葉かき分けて探すしかないのか。
そろそろ夕方、山の静寂とオレンジが僕を包み込む。

とりあえず、元来た道を戻りながら改めて探索開始。
木の陰、草の奥を注視しながら。

④へ続く